by 生産振興課
今日は、事務所にいる時間があったので、北酪検のWEBシステムを
利用し、根室管内の繁殖について調べてみました。
根室管内の検定農家で、26年度分娩間隔399日以内の農家は
102戸あり、その農家を対象になぜ、分娩間隔の成績が良好なのかを
検証してみました。(データ比較は27年データがある97戸対象)
まず、WEBシステムの総合グラフから繁殖項目の3項目に着目し、
全道平均と根室管内の26年度分娩間隔399日以内農家97戸を比較
(1)全道平均
分娩後200日以上空胎牛の割合 → 21%
分娩後100日以上経過の未授精牛割合 → 8%
発情発見率 → 41%
(2)根室管内26年度分娩間隔399日以内農家(97戸)
分娩後200日以上空胎牛の割合 → 16.4%
分娩後100日以上経過の未授精牛割合 → 6.1%
発情発見率 → 48.7%
となりました。なぜここに着目したというのは、実際に繁殖成績が良好な
農家でも初回受胎率と2回目以降の受胎率が平均以下の農家が多く、
受胎率が低いのに、なぜ、空胎日数や分娩間隔は良好なのかを確認して
みたいと思いました。
自分の推測ですが、繁殖成績良好な農家の多くはきちんと分娩後の初回
授精を早く設け、2回目以降の授精に対しても、目視だけでなく、きちんと
周期での発情観察を取り入れていると考えます。
一見、繁殖成績が良好に見えても、
除籍率などが高いと経済効果は低いと思われます。
本当に成績良好+除籍率も低い農家を見ると、初回受胎率や2回目以降
の受胎率は農家間によってバラツキがあり、平均的にも低い農場が多く
見られましたが、分娩後100日以内にほとんどの牛が授精を実施し、
200日以上の空胎牛割合も一桁で、発情発見率が良好でした。
近年、受胎率低下が大きく取り上げられていますが、過去の牛と現在の牛では
能力も違い、繁殖成績を同じく考えようとすること自体が無理な話であり、
それよりも大事なのは、いかに、受胎するチャンス期間にきちんと授精を
実施できるかの回数を増加させることが大事だと思います。
一番大事なのは発情専用時間を一日2回程度設けて観察してやることと
きちんと授精後にも周期観察も実施することです。
根室生産連でも繁殖板の管理システムがありますし、今回の北酪検のWEB
システムでも繁殖管理できるようなものがあります。
農場で一番利用しやすいものを利用していただいて構いませんですので、
今、一度、授精後の牛も周期では特に目視で観察し、記録などをして、
授精師や獣医さんに相談するなど、早めのケアをすることで、長期空胎牛や
リピートブリーダーが少しでも少なくなればいいなと思います。
長々と書いたので、下記に要約します。
(1)受胎率は低くても、受胎するチャンスにきちんと授精実施すること
(発情は目視、周期でもきちんと確認すること)
(2)分娩後、初回発情は特に注意して観察し、授精時にはなるべく立ち会う
(初回発情で子宮の状態を授精師さんから聞くことも大事です)
(3)長期空胎牛にならないように、リピートには特に気をつける
(不受胎用の移植などを活用すること)
※長期空胎牛は泌乳後期から乾乳期間を経て、太りすぎることが多く、
周産期病になる可能性も高く、また、死産率も高まります。経済損失が
長期空胎だけでなく、その後にも影響する可能性が高いことが予想されますので、
積極的な早期対策をお願いします。
また、色々なデータを検証してみますので、こんな数字を算出してほしいなど
ありましたら、根室生産連まで御連絡ください。
(※すぐに対応できるかはわかりませんが・・・)