根室生産農業協同組合連合会 業務ブログ

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「原価分析2カ年継続経営における経営分析結果」終了。

by 企画管理課

開催月日:平成26年8月11日(月)
講演会場:根釧農業試験場 講堂
講演講師:根釧農業試験場 研究部 地域技術グループ
 主査 金子 剛 氏
参加人数:55名

講演概要
 当会で算出した生産費データを活用し、2カ年継続して調査した33経営体の経営分析から得られた結果についてご講演いただいた。(ポイントは以下のとおり)

 十勝農業試験場で作成した所得変化要因解析ツールを用いた結果、収入増加に貢献しているのは個体乳量の増加と乳価上昇が要因。費用については購入飼料のほかその他費用も経費増加に影響していると分析。また、収入が減少している経営体は頭数や個体販売の減が見られ、こうした経営体はほぼ所得減少に繋がっていると分析した。

 1kg当たり低原価経営は小規模経営(50頭)と大規模経営(200頭)に存在。また、原価の低い経営体と高い経営体では、購入飼料費に対する経産牛1頭当たりの出荷乳量水準が異なるため、飼料効率の差について技術的な確認が必要。

 大規模経営はその経営体によって所得額に差があるため、2,000万円以上、800万円以上、800万円未満に区分して分析。結果、大規模で高所得の経営体は他の大規模経営体より雇用労働力が少なく、家族労働の利用が多い。また、乳量当たりに投入する購入飼料費が他の経営体より少ないことも判明。その他、間接費における各費用も抑えられている結果となった。逆に大規模で低所得の経営体は、減価償却費や委託費において他の経営体より高い結果となった。事業収益自体には大きな差はないと分析した。

まとめ
「所得確保」
 2か年の特徴として購入飼料価格が上昇。分析上は産乳量を伸ばすことで所得を維持確保。費用の増加に対して収入増加(単価)で対応できた経営は所得を確保している。経産牛150頭を
超える経営は概ね所得減少。購入飼料費以外の経費負担増、乳代伸び悩みが原因。

「乳価」
 生産資材価格が変動しなければ現状維持だが、今回の条件下では所得維持には収入増加が重要だった。個体販売が減少した中では乳価の改善が追い風であった。

「支出」
 購入飼料費のみが支出増加の要因ではないため、個々の精査は引き続き必要。

「小規模経営」
 低原価は小規模経営に見られるが、固定資産が少ないため経営の持続性(再投資資金の確保)についての検討(後継者対策)が必要。

「大規模経営」
 経済状態が安定していないため、経済の大きさによる評価だけではなく経営の持続性を確保するための対策(農地利用・労務管理・飼養技術のチェック)が必要。

「コストダウン」
 生産規模の拡大で経産牛1頭あたり費用は低下するが、物材費ベースでは上昇している(労働費が低下)。飼料費は増加するので出荷乳量の確保が重要。ただし、1kgあたりでは規模によらず低原価経営があり、飼料効率が高いことが特徴。基本技術励行と良質粗飼料の確保へ。

以上のように纏め、講演会を終了する。


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