by 生産振興課
平成30年度根室乳牛検定組合連合会主催講習会が2月1日(金)に開催されました。今回は『哺育期の疾病予防』と『畜舎環境』に着目した結果、多くの生産者の参加を頂き、盛会裏のうちに終了することが出来ました。来年度も開催いたしますので、乳検加入農家の多数のご参加をお待ちしております。
とき:平成31年2月1日(金)
ところ:道東あさひ農業協同組合別海本所 2階 会議室
参加者数;102名
講師:
宿沢 光世 氏/根室農業改良普及センター 普及指導員
田中 義春 氏/公益社団法人 北海道酪農検定検査協会 参与
片岡 美幸 氏/計根別農業協同組合 営農部営農振興課 基盤強化対策係長
〜講習内容〜
1 『今日からできる!哺育期の下痢・疾病を未然に防ぐポイント〜アイデア勝負』 宿澤光世 氏
・ 初乳は生後、可能な限り給与することが望ましい。12時間以降は体内が吸収できない。
・ 初乳品質は糖度計と同様のBRIX計を使用するとよい。初乳の給与量は1回に2ℓ以上を推奨。BRIX値は22%以上の初乳の給与が望ましい。(22%以下の初乳は混ぜるとよい)
・ 凍結した初乳は60℃以下で解凍すること。60℃以上は初乳成分を変性してしまう。
・ 哺乳ビンや哺乳乳首の洗浄はお湯のみでは洗浄しきれない。アルカリ洗剤を使用することでより衛生的であり下痢対策に効果あり。(推奨する洗浄方法はP12参照)
・ 自農場のみではなく、農家間の情報共有が重要なため、定期的な意見交換の場があれば新しい発見につながり、結果として経営向上につながる。
2 『健康・早期受胎で乳量の生産拡大を図る』 田中義春 氏
・ 簡易的に検査できるケトン体情報を活用し、分娩後の管理を行うことで周産期疾病の予防になる。
・ サイレージ給与中はBHB値が高くなる傾向になるため、BHB値のみではなく、給与中のサイレージ発行品質も考慮したほうが良い。
・ 根室管内は乳頭率が低い傾向にあり、十勝管内は高い傾向にある。肝臓機能が活発になるため乳頭率が低下する。(草地型酪農に多い傾向あり)
・ 分娩前後が勝負であり、乾乳中期から後期にかけての太り過ぎは分娩後に影響が出る。
・ 分娩房は滑らないよう敷料を十分に敷き、逆子発生を防ぐためにも寝起きする回数を増やすことが重要。
・ 牛は必ず与えられる飼料を選び食いするのでエサ押し回数を増やし乳量アップにつなげてほしい。
3 『飲水環境を改善して乳量を増やす』 片岡美幸 氏
・ 牛は1日120ℓほど飲水する。乳量が出る牛はもっと飲水している。
・ 牛の理想的な飲水姿勢は水面との角度が60°程度が望ましい。飲水環境は飲みたいときに飲ませる環境にすることが重要。また飲水環境は広くすることで牛は、ストレスのかからない飲水が出来る。
・ 牛は一度に大量に飲水するため、ウォーターカップの水圧が弱い場合は配管を太くするなどの対策を講じることが重要。
・ 地下水を利用している場合は、乳房炎牛を増やさないためにも一度水質調査を行い、適正であるか検証するべき。