by 情報事業課
内 容
この度の酪農技術総合セミナー(専門コース)は2年数か月の施肥に係る取り組みの
集大成とも言える結果報告会である。
JA・関係機関から傍聴者を招集し、各モデル農場に対する施肥改善活動の内容及び
結果、そして自身が学んだ事を纏め、発表した。
(1) 経過報告
『北海道東部の草地型酪農地帯におけるふん尿主体施肥の導入促進』
発表者:根室農業改良普及センター 黒丸隆太郎 氏
12/15開催の北海道畜産学会において、酪農技術総合セミナー(専門コース)の
取り組みを根釧農試:村上主任が中心となり発表。
(2) 受講生報告
計12組が本セミナーで取り組んできた施肥改善活動についての取り組み内容・成果
の報告を実施した。
(1) 『根室支所A牧場における施肥対応事例』
JA道東あさひ根室支所 営農課 経営相談係長 佐藤幸裕
(2) 『土壌診断結果に基づき堆肥と尿を活用した肥料コスト低減の推進事例』
JA道東あさひ根室支所 購買課 購買係 西山剛史
(3) 『土壌診断に基づく施肥改善の推進事例』
JA標津 営農生活課長 桐島友一
(4) 『I牧場の施肥改善の推進事例報告』
JA中標津 購買部 生産資材係 橋将志
JA根室生産連 生産振興課 瀬野翼
(5) 『新規就農農場の施肥改善事例』
JA計根別 営農部 営農支援課長 金野智樹
(6) 『土壌分析に基づく施肥改善の推進事例』
JA道東あさひ 営農部 経営対策課主査 齋藤勇吾
JA根室生産連 生産振興課 佐々木俊輔
(7) 『糞尿利用計画支援ソフトを活用した施肥改善の推進事例』
JA計根別 営農部 営農支援課 吉田和弘
JA根室生産連 情報事業課 千葉達也
(8) 『堆肥と尿液肥を活用した施肥改善の推進事例』
JA中春別 営農部 営農振興課 塩崎純也
酪農検定検査協会 根室事業所 所長代理 井村圭司
(9) 『土壌診断に基づく施肥改善の推進事例』
(堆肥・尿液肥・化学肥料の有効活用)
JA道東あさひ 営農生産企画専門対策課長 齋藤哲範
(10) 『土壌分析に基づく化学性及び物理性改善の推進事例』
JA道東あさひ 営農生産企画専門対策課主査 川村憲正
(11) 『土壌診断に基づく肥料費削減の推進事例』
JA道東あさひ 購買部 資材燃料課 阿部祐太
JA根室生産連 情報事業課長 伊藤直樹
(12) 『施肥改善の推進事例』
JA道東あさひ上春別支所 営農課 経営相談係長 佐藤弘行
JA根室生産連 情報事業課 企画振興係長 伊藤英則
【自身の取り組み】
小職はJA道東あさひ購買部の阿部氏と組み、中西別地区のK牧場に対して施肥改善
活動を実施した。
K牧場は放牧地はオーチャードグラス・兼用及び採草地はチモシーが主体草種の圃場
で有るが、小職が植生区分調査、土壌採取で見た限りでは雑草・裸地が多く改善点は
実に多く感じた。
その後、農場との協議においてはK農場は肥料に係るコストを低減したいとの事で
あり、それを念頭にAMAFEを活用した肥料購入計画を提案。
K農場も了承し、基費で395千円、追費で13千円の肥料代削減に成功した。
今後は肥料代を抑えつつ、草地更新等の草地品質活性化を目指す。
(3) 全体講評 根釧農業試験場 飼料環境G 研究主幹 三枝俊哉 氏
2年数か月に及ぶ研修で、JA職員の施肥改善における農家との協議のスキルは一定
のレベルになったと思われるので、今後は自身でスキルアップする事。
12組の中で提案が通った組も有れば通らなかった組も有るが、通らなかった組は
そこで失敗事例を手に入れた事になる。
この度失敗した要因は『提案内容が理解されなかった』『提案及び活動が遅すぎた』
『提案内容が現実的に無理がある場合』『提案内容に無理は無いが実行段階で不可能
となった場合』など、様々なパターンが考えられるが、その失敗事例をそのままに
しておくのではなく、きちんと解析し自身のスキルアップの材料として活かしていく
ようにとの事。
また、道東あさひの齋藤常務より、本活動をより有効な方法、スピード感のある成果
取得が見込まれるような取り組みについて三枝主幹に質問。
他管内などで行われている事例を説明した。
(4) 感想
各組の報告内容の詳細に関しては、小職の組のように比較的スムーズに農場と
の協議が進んだ組も有れば提案内容の不味さや活動の遅さ、またJA内部の
人事異動などでかなり難航した組もあったようである。
正直、我々連合会は土壌、施肥分野に対しての基本的な知識が無い状態からスタート
しJA担当に助けられながら最後まで本セミナーを受講してきた訳だが、残念ながら
専門知識を習得したというレベルには至っていない。
実際にはほんの障りの基礎知識を習得したに過ぎない訳だが、今後控えている
GIS
を用いた圃場管理システムの開発・推進には本セミナーで学んだ基礎知識は必須であ
るし、それだけでも本セミナーに参加した価値があると思っている。
また、施肥相談のために何度も農場に通い、協議を行うJAの購買・営農職員の取り
組みを目の当たりに出来た事も本セミナーの収穫である。
施肥改善活動においては、実際の現場でJA職員が活動する事を見る事は殆ど無いの
で圃場管理GISシステム担当のみならず、参加した本会職員の今後の仕事に何らか
の形で活かされる事を望みたい。