by 生産振興課
第74回北海道家畜人工授精技術研修大会が去る10月18日(木)〜19日(金)にかけて開催致しました。参加者18名、当管内より4題の研究発表がありました。
と き:平成30年10月18日(木)〜19日(金)
ところ:札幌市 ANAクラウンプラザホテル札幌
参加者:237名(うち根室管内参加者18名)
No.3『受卵牛近辺の温湿度は受胎率に影響するのか?』
・THIは、経産牛における移植実施の判断基準となる。一方未経産では判断基準の一つとなるとは言えなかった。
・寒冷期では低受胎率を示したことから、移植時の改善点として融解後の温度変化に注意し、ガンウォーマーを使用し速やかに受卵牛へ移植するなどが挙げられる。また受卵牛の飼養環境の改善として、寒冷ストレスの軽減を目的とした防風対策や水飲み場のヒーター設置などが挙げられる。
・暑熱期には経産牛の移植は低受胎率を示した。対策として飼養環境の改善が必須となり扇風機の設置、ミストファンなど牛舎環境の改善、良質な飼料の給餌などが挙げられる。
No.10『ホルスタイン種泌乳牛におけるショートシンク開始時の卵巣所見と受胎率との関係性』
・全供試牛における受胎率は33.7%
・ショートシンクの受胎率に影響していた要因は卵胞数群のみであり、卵胞1個群(21.8%)と卵胞複数個群(43.3%)では有意に受胎率が高かった。
・第1卵胞波主席卵胞の排卵による受胎率は、第2卵胞波の排卵よりも悪いことが知られているため卵胞1個群には第1卵胞波の排卵が多く含まれていたと推察。また、排卵卵胞の卵胞はの違いはその後の黄体機能に異なる影響を及ぼす可能性が示唆された。
No.13『ホルスタイン種における乳汁中の妊娠関連糖タンパク検査による妊娠確認の有効性を検討』
・パグ検査にて妊娠『+』で受胎していた牛は78.8%、妊娠『+』であったが後日再発場を示した牛は21.2%。また妊娠『−』と診断された牛はすべて不受胎であった。
・パグ検査は不受胎牛の早期発見には有効であるが、妊娠『+』と診断された牛であっても複数回の検査が必要であると考えられる。
・特に数値の低めな牛については授精後28日以降の早期診断と60日から80日までに追加診断、さらに乾乳期前にも診断する3回診断を推奨したほうが良い。
No.14『ホルスタイン種泌乳牛における牛群検定成績を活用した性選別精液受胎率の予測』
・牛群検定成績表を活用することでホルスタイン種における性選別精液受胎率の予測が可能であることが明らかとなった。しかし予測を高精度に行うには乳量水準毎に予測モデルを作成することが必要である。
以上のとおり、当管内より4題の発表があり、優秀賞2題と優良賞1題が当管内からの発表という結果となりました。優秀賞2題の発表者については来年2月に開催される全国AI 大会の北海道枠として参加されることとなります。
次年度は十勝協会が記念式典を兼ねた大会として開催されます。開催時期は平成31年10月17日(木)〜18日(金)であり、開催場所はホテルグランテラス帯広で決定しておりますので多数の参加をお願いします。
〜優秀賞〜※全国大会出場者
(1)『ホルスタイン種泌乳牛におけるショートシンク開始時の卵巣所見と受胎率との関係性』
(道総研)酪農試験場 窪友瑛 会員
(2)『ホルスタイン種における乳汁中の妊娠関連糖タンパク検査による妊娠確認の有効性を検討』
JAけねべつ 中條匡晃 会員
〜優良賞〜
(1)『ホルスタイン種泌乳牛における牛群検定成績を活用した性選別精液受胎率の予測』
(道総研)酪農試験場 古山敬祐 会員