by 生産振興課
会議名:平成25年 道東3地区AI研修大会
主催:釧路農協連、十勝農協連、根室生産連
日時:8月8日(木) 13:00〜17:30
場所:釧路プリンスホテル 2階中ホール
・研究発表に先立ち特別講演が行われた。
〜特別講演 「わが国の乳牛改良について」
講師:農林水産省 生産局畜産部畜産振興課 外山高士課長補佐
・遺伝的能力評価の新たな評価項目に「娘牛受胎率」、「空胎日数」を加え受胎率 改善に役立る。
・ゲノミック評価については後代検定事業と併用。メリットは下記の事が挙げられる。
○メリット
・候補個体の予備選抜が可能になり、候補牛(検定待ち個体)数の削減、エリートカウの選定が可能になる。
・検定済み種雄牛の評価値、特に遺伝率の低い繁殖性等の精度向上につながる。
〜研究発表
・管内からは4題の発表があった。
1.「陰部の角度が繁殖成績に及ぼす影響」
発表者:高橋藍未(改良部会発表)
・尻の角度(低い、中程度、高い)、陰部の角度(立っている、やや立っている、ねている)をそれぞれ3段階に分けて評価し、繁殖成績との関係を調べた。
・結果、尻の角度より陰部の角度の方が分娩間隔に影響を及ぼし、陰部の角度が立っている牛は繁殖成績も良好で、陰部が寝ている牛は半数が授精回数4回以上と極めて受胎が悪かった。
・考察として陰部と尻の角度の改良は繁殖成績の改善に繋がる。陰部の寝ている牛はシースカバーの装着等の対策が必要。
2.「暑熱ストレス指標としての牛体表面温度の検討」
発表者:片岡美幸(JA計根別)
・牛体表面温度(左右、片側17箇所)を測定し牛体表面温度は暑熱ストレスの指標となるか調査した。
・まず牛体中心部(腹部の中心)を基準として表面温度、外気温等との関連性を調べた結果
(1)脇や乳房等の皮膚が薄く血管が体表面に近い部分は中心部より表面温度は高い。
(2)上腕、腹部等の風に当たり易く、筋肉が発達し血管が体表面から離れている部分は中心部より表面温度は低い。
(3)牛体表面温度が29.9℃を越すと呼吸数が急激に増えた。
・以上の結果から29.9℃を越すと牛は暑熱ストレスを感じ、また牛体表面温度は暑熱ストレスの指標として十分に役立つことがわかった。
3.「乳牛での発情後出血の見られる時期および受胎率との関連」
発表者:古山敬祐(根釧農試)
・発情後出血(以下、排血)と受胎率の関連性について調査した。
・排血が見られる時期、頻度をそれぞれ調査した。
・発情発見から2日目に排血する牛が約50%と最も多く、明瞭な発情行動があった牛程排血することがわかった。排血した牛の方が排血しなかった牛よりも受胎率は高かった。
・調査結果として排血は1〜3日目に確認でき、排血が認められた牛は受胎率も高く、排血は発情の良さの指標になる、可能性がある。
4.「養老牛乳牛改良同志会の取り組み」〜ホルスタイン種未経産牛の育成発育調査
発表者:中條匡晃(JA計根別)
・前年度までの研究結果(育成牛の飼養改善)が乳生産、繁殖成績に繋がったのか検証した。
・前年度までの改善策として次のことを行った。
(1)品質の良い粗飼料の飽食。
(2)子牛用配合飼料への切換えと給与回数。
(3)牛体を清潔に保つ。
(4)水槽の清掃、パドックの整地を行った。
・体高、体重を計測し、乳検成績、繁殖成績から改善前と改善後を比較した。
・結果、乳量、乳成分に変化は見られなかったが、繁殖成績は授精回数が減り、空胎日数、分娩間隔共に短くなった。
・前年度までの研究結果も踏まえて、育成牛の発育改善は繁殖成績の改善に繋がる、といえる。