FAC活動と共催の「冬季酪農セミナー」終了
by 根室生産連
日 時:2012年2月2日
場 所:別海マルチメディア館 参加者:154名
繁殖向上(Field・Advice・Communication)活動中の
授精師と繁殖低下に直面する酪農家への発情・排卵・受胎
についての研修「繁殖向上を求めて」(坂口実氏)を開催。
1.『繁殖向上を求めて』
農業・生物系特定産業技術研究機構 北海道農業研究
センター 酪農研究領域 坂口 実 氏
1.1 乳牛繁殖性の過去・現在・未来
過去30年において一頭当たりの乳量は大幅に増加し
たものの同時に分娩間隔も増加。乳量の増加と増頭に
伴い繁殖性の低下が発生。
・乳量増によるホルモン代謝アップ
・乳量と採食量が合わない負のエネルギーバランス
・エネルギー不足と高タンパク飼料が重なる事による
繁殖性悪化
1.2 初産月齢を早める
北海道農業研究センターでの調査で初産月齢を早める
事で生産性の変化を検証。
その結果、3産迄の生産性は同じである事が実証。
繁殖性にも悪影響は無いが、低体重・低BCSには注意
が必要。
1.3 分娩後の繁殖機能回復
北海道農業研究センターで50頭の乳牛で調査。
初回排卵、発情の遅れにより低い発情発見率や無発情
の回帰により受胎の遅れが発生。
またスタンディングを指標とする授精適期、マウンティ
ングの指標と排卵時期の関係と現実的対応(一定の傾
向というよりもばらつきの拡大)を学習。
1.4 繁殖性の指標と発情発見
・分娩前600kgで12ヶ月授精−21ヶ月初産は可能
・早すぎる初回排卵・発情は必ずしも空胎日数を短縮
しない
・授精開始時期のスタンディング発情割合の減少
・発情回帰後の無発情排卵への回帰
・乳量水準と体重変化率を繁殖管理の目安にする
・歩数計による発情発見は有用
1.5 今後の展望 −考え方と経済性
現場での対策として飼養管理、発情発見などの牛の管理が大事。
画一的ホルモンプログラムは問題を潜在化させる可能性あり。
短期的対応と長期的展望が必要。
家畜福祉(アニマルウェルフェア)の考え方も考慮。
2.『暑熱対策』 講師:根室農業改良普及センター 普及指導員 角川 貴俊氏
多くの酪農家にとって繁殖に影響を及ぼし生産状況に直結する暑熱の対策について学習。
対策:施設・栄養・管理に大別。(今回は施設について学習)
2.1 直射日光のコントロール
問題点
・ハッチの中しか牛が直射日光から逃げる場所が無い
・日光で餌が乾燥・腐敗
・牛が日陰に逃げて餌を食べられない
対策例
・日除けやスプリンクラーの設置
2.2 換気や送風の工夫
問題点
・開口部が少ない牛舎
・送風ファンの不足
・人間の感覚で判断しファンを回さない
対策例
・自然換気から強制換気に切り替え牛の体感温度を下げる
・トンネル換気やリレー換気等、牛舎構造に合わせ工夫
2.3 水を十分飲ませる
問題点
・給水量が少ない
・水を飲む場所が無い
・水槽が汚い
対策例
・配管を改善し吐水量を増加させる等の工夫で水を十分に確保
・水槽をこまめに掃除する(重曹が有用)
・水を飲める場所を増やす(簡易水槽)
詳細は営農改善資料『夏バテもうご免!〜根室の夏をのり切ろう』を参照。
添付資料
01.pdf(繁殖向上を求めて)
添付ファイル
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