根室生産農業協同組合連合会 業務ブログ

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平成24年度河川環境保全推進セミナー

by 情報事業課

(1)『河川水質を指標とした農林地流域の土地利用評価について』
  〜農業が水質環境に及ぼす影響と流域の水質保全問題〜
     帯広畜産大学准教授 宗岡 寿美 氏
  十勝地域をモデルにした河川水質の調査・研究についての研究発表。
  河川の硝酸態窒素がどの程度検出されるのかを検出し、その土地利用評価を求める。
  調査の結果、畑草地の増大が硝酸態窒素の上昇を起こす。
  十勝地域は化学肥料の影響で根室・釧路地域に比べ硝酸態窒素が多く検出されている
  事が解った。

(2)『流域の農業的土地利用と河川水質の長期変動特性について』
     帯広畜産大学大学院 畜産学研究科 山崎 由理 氏
  90年以降、道東での河川水質調査を実施していたが、ポイントは家畜排せつ物法が
  施行された前後を中心に硝酸態窒素の上昇・低下傾向を検証。
  対象地:十勝地域(然別川・十勝川) 根室地域(標津側・床丹川・西別川)
  この度の報告では法律施行後、牛舎環境整備等が実施されたにも拘らず硝酸態窒素が
  上昇していたことが問題視された。
  受講者からも施行後の上昇について疑問視する質問が出ていたが、単一的な問題解決
  法で解消できる問題ではなく、引き続き改善策を模索する必要あり。
  結果として判明した事は、化学肥料によるふん尿からの窒素流出が硝酸態窒素の上昇
  を起こしている事。
  畑作・酪農の十勝地域の方が酪農専業の根室地域に比べ硝酸態窒素の上昇傾向が
  強い。
  今後、河川への窒素負荷軽減対策が重要であり、適切な管理で改善される可能性も
  高い。

(3)『風蓮湖流入河川連絡協議会の活動について』
     風蓮湖流入河川連絡協議会 会長 安部 政博 氏
  2004年に設立された風蓮湖流入河川連絡協議会のこれまでの歩みと活動内容の
  発表。
  風蓮湖ではかつてシジミが豊富に捕れたが、大規模草地開発による河川からの泥の
  流出により年々水揚げ量が減少し2000年には禁漁措置がとられた。
  風蓮湖流入河川連絡協議会はシジミの復活を始め風蓮湖が有する豊かな自然を守り、
  次世代に引き継ぐため、「森と川と海はひとつ」を合言葉に風蓮湖流域水環境保全
  計画に取り組んでいる。
  保全活動内容
  ・植樹祭 ・どんぐり教室 ・風蓮湖船上視察 ・ラムサール条約登録記念講演会
  ・水の生きもの観察会 ・カレンダーの作成 ・根室ワイズユースの会 
  ・浜中緑の回廊推進委員会

(4)まとめ
  河川水質の調査の研究については、農業が河川の硝酸態窒素の上昇を起こしている事
  は結果として明らかになっており、改善策を検討する事は急務であると感じた。
  また、風蓮湖の環境汚染については、自身も根室管内の住民であるが省みた事は無く
  改めて根室管内の2大産業である酪農業と漁業が協力・連携して水質汚染の問題に
  取り組まなければならない事を痛感した。


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