by 情報事業課
≪ アイルランド ≫ 9月27日
ベイリーズ・テイスティング・ワークショップ
(ザ・オーチャード・センター)
ベイリーズとは有名なアイルランド原産のクリーム・リキュール。
(1)ザ・オーチャード・センター搾乳所の概要
ザ・オーチャード・センター搾乳所は1865年より就農し、
現在はマイケル氏と言う方が農場主であり、現在兄弟
2人、従業員1人で運営している。
乳牛は約140頭で年間総乳量100万リットルを生産
して、ベイリーズ製品に活用されている。
小職もベイリーズ製品を堪能させて頂いた。
土地はアイルランドでは大規模の120ha
(アイルランドの平均は60ha)。
粗飼料主体で年間8ヶ月間(3月始め〜10月末)放牧
する。
冬期間は牛舎で配合(トウモロコシ)、乾草を与える。
全頭中の80〜90%は人工授精でアメリカやヨーロッパ
各国より精液を購入し自身で種付けをする。
季節分娩であり、秋から春にかけて分娩される。
年間1頭当たりの乳量は7500リットルで、餌は1.2トン。
乳成分はFAT:4.1 PRO:3.75との事。
また、FOS:37万 BAC:3万を自主規制としている。
肉に関しては仔牛(オス)はオランダに輸出している。
アイルランドは商品の80%を輸出しているため、トレーサ
ビリティ制度が実に充実している。
アイルランドでは約1400戸の農家がベイリーズに牛乳
を供給しており、様々なおいしい製品に活用されている。
乳価については1リットル34セントであるが、冬期間は特
別ボーナスが出て40セントとなる。
但し、成分によって少々の変動もあるとの事。よって、特
に乳質を重視している。
圃場に対しては、草の種類はペレニアルライグラスが主
体であるが、放牧地の草地更新は25年ほど行っていな
いとの事。
放牧地は幾つかあり、牛群を定期的に移動させ、そのサイクルに合わせ肥料を撒く。
採草地は平均10年に1回のペースで更新。
家畜の病気に関してはBVD−MD・サルモネラの予防接種は定期的に行っているよう
である。
(2)アイルランド酪農の概要(ザ・オーチャード・センター ポール氏)
アイルランドは1973年にEEC(欧州経済共同体)に加入し、当初はイギリスとの貿易
(バター)を行っていたが、後にチーズ・生乳等の輸出も行う様になった。
しかし、生産量が多すぎてクォータ制度(出荷制限枠)が用いられ、今日に至っている。
但し、クォータ制度は2015年に廃止予定であり、以降は制限無しで出荷出来るとの事。
アイルランドは農家人数が18930人(なぜか戸数ではなく人数で表現していた)で、頭数
は100万頭。
日本同様、農家の数は減少してきているが、年間40万リットル以上出荷する大規模農場は
増加傾向にある。
品種はイギリス同様ホルスタイン・フリージアン種で春に分娩させる。
現在はクロスブリーディング(異種交配)も導入している。
アイルランドの乳価に関しては、高・中・低の3レベルの例を説明された。
1リットル当たり
高レベル農家 乳価:32セント コスト:20セント 利益:12セント
中レベル農家 乳価:30セント コスト:22セント 利益:8セント
低レベル農家 乳価:29セント コスト:27セント 利益:2セント
アイルランドには乳業会社が12社あるが、販売価格の差は1〜2セント程度である。