根室生産農業協同組合連合会 業務ブログ

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JAグループ北海道農業経営フォーラム

by 企画管理課

日時:平成24年10月23日 午後1時
場所:札幌市 札幌パークホテル 地下2階

開会挨拶:JA北海道信連 経営管理委員会 菅原会長

 セミナーは、「〜今こそ考える、何ができるか〜」をテーマとした3部構成の講演であり、どれも環境変化への対応、新技術や新事業の導入と取り組み、ヒトとのコミュニケーション等を重要視した講演内容であった。

1、「進展するアジアのトマト農業からみた、北海道野菜産業への提言」
 □ カゴメ株式会社 常務執行役員農業資源担当:佐野泰三氏

 日本の生鮮トマト消費量の低迷が続くなか、中国、韓国は飛躍的に消費量が伸びている要因を紹介。収穫面積および生産量ともに政治的規模拡大や開発事業を進めてきたのも事実だが、中国では日本ではあまり馴染みのない加熱処理による消費・普及やスーパーマーケットチェーン店舗へ農家が直販するなど、流通と消費・普及方法に工夫をしている。また、韓国では健康志向によるトマトの生搾りジュースが普及し、家庭への流通が段ボールになったことが要因との事であり、日本も環境変化を捉えた展開方法を考える必要がある。
 「需要から農業を考える」「売れるもの、求められるもの」を作り利益を獲得する経営的農業を目指すため、生活者の食の実態を知り、顧客と直接対話し、異業種とのネットワークを展開して次の事業につなげること、また、産業発展のための新しい技術や政策(太陽光蓄熱方式、規制緩和・税制優遇措置など)を海外の事例を参考にしながら考えていくことが必要である。
 最後に、自社の経営理念に基づき事業展開することが重要であること、企業と農業をつなぐのはJAの大きな役割であることを述べた。

2、「コンサル事例から見た農業法人経営のポイントと経営者が押さえるべき数字」
 □ 全国農業経営コンサルタント協会 専務理事:森 剛一氏

 設備投資は投資する時期やタイミングが重要であり、「目的が定まっていない投資、赤字経営から投資、周りの様子をみてから投資」は危険である。数戸共同で設立した法人は、設備投資に後ろ向き、意思決定のタイミング遅延、集団無責任体制に陥りやすい。また、経営者の技術が優れていても、従業員がついていけなかったり、コミュニケーションが出来ていなかったりする場合は要注意である。
 6次産業化への投資も同様であり、財務安全性の低下を防ぐ時期やタイミングが重要である。また、園芸より加工の収益性が低い傾向にあることや、投資回収期間の長期化などを考えたうえで投資しなければならないなど、自身が経験したからこそ述べられる事例講演であった。

3、「農業法人経営に必要なこと〜過去の経営から学ぶ」
 □ 農事組合法人西上経営組合 組合長理事:竹俣広幸氏

 昭和48年、凶作により農家戸数が6戸まで減少した際、地域農業を守るため農事組合法人を設立し、観光農園、レストランなど時代の流れに合わせた事業を展開してきた。しかし、消費者が求めるものは時代の流れによって変化していき、展開していた事業も廃業せざるを得ない状態となったが、消費者が満足する目玉を作出すること、良い原料を良い商品として消費者に評価されるものを事業として展開することで「そば製粉」「切干大根」などが成長した。6次化自体が目的ではなく、本業あっての6次化であることを忘れてはいけない。
 法人としての目的・理念を明確にして役職員と共有すること、コミュニケーションの場を提供すること、従業員に責任を与えるとともに動機付けやモチベーションの維持を行うこと、複数の仕事を経験させ組織全体のことを考えて仕事をする従業員を育成すること、次の代表者になる権利を全役職員が持っているということを自覚させること等がポイントであり、これからも共存同栄の精神を持った丈夫な組織づくりを展開して次世代につなげたい、という過去の経験から学んだ法人経営の在り方についての講演であった。


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