根室生産農業協同組合連合会 業務ブログ

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経営効率化(蹄病)

by 生産振興課


 みなさんDD(趾皮膚炎)という蹄病はご存知ですか?
 DDとは、伝染性の蹄疾患のことで、トレポネーマという病原体が
 表皮と真皮に深く入り込み、長期間に渡り、慢性的な症状を示します。

 この病気は一般的に完治をさせることはできないと言われ、
 この病気は症状を示す、重篤な症状に悪化させないでうまく
 牛群をコントロールすることが重要です。と言われております。

 自分がドルテ・ドファー博士の講演を受けたときに
 (初産牛305日間)
 健康な牛              0
 タイプII(DD軽度牛)     -544キロ
 タイプIII(DD重度牛)     -726キロ
 の減産が認められています。と講義を受けた記憶があります。

 例えば、100頭の牛群で(乳価95円計算)                
 (1)100頭健康牛、もしくは症状がみられない牛       
 (2)50頭健康牛、30頭タイプII、20頭タイプIII
 (損失)30頭×乳価95円×-544キロ = -1,550,400円
 (損失)20頭×乳価95円×-726キロ = -1,379,400円
  (合計損失) =2,929,800円の損失となります。
 (1)の農場と(2)の農場では乳代で約300万円の差が生じております。

 ※蹄は乳房炎などに比べ、直接的要因でないため、どうしても
 軽視してしまいますが、実は、損失額で言えば、非常に大きな要因です。
 ↑の計算式の他に、蹄が悪いと採食行動が減り、栄養バランスが崩れ、
 内臓疾患などの要因にもなりますし、肢が痛いため、発情徴候行動も
 発現しにくく、授精なども遅れる可能性が高まります。
 目に見えない大きな損失額を生じているのが、実は蹄や肢なのです。
 これらのことから、なるべく、牛群内での蹄病について早期対処を
 していただきたいとこの記事を記載させてもらいました。
 私も5年間、根室牛削蹄師会の会員達とお話などをさせていただきましたが、
 やはり、多くの農場は乳房炎には敏感な反応を示すが、その一方で
 肢をひきづっていても対処していない農場も少なくないと聞きます。

 もし、牛群内で肢蹄などに問題を抱えている農場があれば、
 担当の獣医師さんや削蹄師さんとコミュニケーションをとり、
 牧場内の牛群蹄ケアを実施してみてはいかがでしょう?
 獣医師さんも削蹄師さんも重篤な症状を示す前の早期の段階では
 よりケアがしやすいと思います。
 28年度根室牛削蹄師会では地元獣医さんと連携し、
 『蹄病とその効果的な対処法』などを企画し、より削蹄師、獣医師の
 コミュニケーションを深め、酪農家さんに対しての提案など
 統一見解ができるよう、努めていきたいと思いますので、
 ぜひ、ご相談してみては、いかがでしょうか?
 

 (※下記のはあくまで参考程度に)
 担当の獣医さんや削蹄師さんと相談して農場内で決めてください。 

 (1)適切な削蹄回数と削蹄時期 
 ・理想は年3〜4回(乾乳前の牛、分娩前の育成牛、分娩後150日前後の牛達)
 ・理想は未経産のうちに前蹄だけでもおとしておくこと
 
 (2)適切な蹄浴について
 ・理想の蹄浴槽は横幅50〜70cm、長さ3〜3.65m、溶液の深さ6cm程度
 ・理想の回数は症状にもよりますが、蔓延的な症状が継続している農場は
  週に3回(月、水、金)の割合で硫酸銅2〜5%濃度(症状にあわせ)を
  実施し、改善効果がみられてきたら、実施回数を減少させていく


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