根室生産農業協同組合連合会 業務ブログ

<<   >>

明治グループ酪農セミナー

by 企画管理課

と き:平成24年11月28日(水)11時
ところ:帯広市 ホテル日航ノースランド帯広

演題
 午前の部:子牛の健康と栄養管理の重要性…(1)
 午後の部:乳牛における物理的に有効な繊維の必要性…(2)

講師
 ペンシルベニア州立大学 農学部酪農畜産学科教授
 A.ジャッド ハインリックス博士

内容(…(1))
 2007年における米国の子牛年間死亡率は8%であるが、5%未満を実現することを目標としており、様々な研究に取り組んでいる。
 牛は母親の免疫グロブリンが胎盤を通過しないため、初乳は出来る限り早くに与える必要がある。与えたら直ぐに受動免疫はピークに達するが抗体濃度の低下も急激に落ち込む。子牛自身の能動免疫がフル稼働するまで2週間以上かかるので、この期間は子牛に極力ストレスをかけないようにすることが大切である。また、多くの酪農家は十分な初乳量を与えているが、初乳の品質が十分でない場合があるため、受動免疫がピークのときの子牛の血清を屈折計により測定し、血中タンパク質レベルを計測する必要がある。初乳の免疫グロブリン濃度は60mg/ml以上必要だが、分析結果が低い場合は冷凍初乳や代用乳等を与える。(子牛誕生後の血清中免疫グロブリンは、成牛換算乳量や乳脂に影響をもたらす。)
 子牛のADG(日平均増体重)は、飼育場所や季節、乾物摂取量、出産場所、母牛の産次数、初乳摂取量、コクシジウム感染、臍の消毒、呼吸器系疾病など、疾病、管理、栄養状態に影響する。子牛が肺炎や下痢など疾病に罹り治療を行った場合、初産牛になってから正常牛との差が必ずでる。特に呼吸器系疾病は将来の乳量に大きく影響する。ただし、適切な治療で処置すれば乳量UPにつながる。
 子牛の育成において、育てる方法は一つでないこと、8週齢までに体重を出生時の2倍にすること、離乳後の成長率は一定に維持・或いは上昇させること、ミルク代用乳中に飼料添加剤を使用すること、可能であればスターターにも使用すること、コクシジウム予防をすること、消化促進・胃腸改善をはかること、呼吸障害を制御することを推薦する。
 離乳は子牛が1日当たり0.75〜1kgのスターターを食べ始めたときとし、摂取量が2.5〜3kgとなったら粗飼料を自由採食させる。なお、離乳までは余分な粗飼料を給餌しないようにする。

内容(…(2))
 高泌乳牛には健康なルーメンが必要である。質の良い繊維はルーメンに影響を与え、ルーメン内のpHは粗飼料と濃厚飼料の比率、飼料の質、粒度等によって影響される。
 飼料の種類によって採食速度と唾液生産量が異なり、特に長い粒度はルーメンマットの維持、反芻刺激、ルーメン緩衝作用に働くが、長すぎる粒度は選び食い、DMIの制限などにつながってしまう。逆に短い粒度はDMIの維持、選び食い減少、ルーメン内での適切な発酵に働くが、短すぎると低pH、SARA、アシドーシス、四変、蹄葉炎につながってしまう。
 現在わかっていることは、臨界粒度は1.18mmより大きく、おそらく3.0〜4.0mmである可能性が高い。
 TMRでは、1.18mm未満を20%未満、1.18〜8mmを30〜40%、8〜19mmを30〜40%、19mm以上を3〜8%とすることを推奨する。


<< >>





RSS

Ringworld
RingBlog v3.22