根室生産農業協同組合連合会 業務ブログ

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水環境と畜産環境を考える研修会・意見交換会

by 情報事業課

(1) 『家畜ふん尿に起因する環境問題』
       地域拠点型農学エクステンションセンター特任教授 前田 善夫 氏
  家畜ふん尿が及ぼす環境汚染についての実例紹介。
  平成7年度と24年度の苦情発生データを比較した場合、悪臭が最も発生要因
 として多く、また畜種も豚・乳牛・鶏の順で変化なし。(但し苦情件数は減少傾向)
  家畜ふん尿の環境汚染は水質汚染・悪臭・土壌の養分蓄積などが考えられるが、問題
 視される河川の水質汚染についてのデータを検証した結果、根室管内の河川においては
 林地帯(知床川)よりも酪農地帯(南部)になる程、硝酸態窒素の濃度が上昇しており 人間の日常生活が水質汚染の一因となっている事が解る。
  現在は家畜排せつ物法が施行されており、別海町も94%が適合施設で管理されてい
 るが、以前堆肥盤や尿溜のみの環境の農場もあり、今後対応策をどのように考えていく
 かが大事である。
  また、実例としてイギリス・デンマーク・アメリカ(カリフォルニア)等の環境政策
 が紹介された。

(2) 『酪農地帯の現状と将来構想に向けて』
      酪農学園大学 農食環境学群 循環農学類 吉野 宣彦 氏
  酪農の抱える問題点として、環境問題以外に担い手減少・労働時間増加・借入金増
 加・収益性の低下等の問題があり、特に担い手に関しては規模拡大しないと現状の乳量
 を維持出来ない時代に既になりつつある。
  但し、農家間の収益格差は大きく、大規模化や乳量増加・分娩間隔の短縮がそのまま
 所得向上に直結しない事がデータから読み取れた。
    
(3) 『今後の方向性・取り組みのあり方について』
      酪農学園大学 農食環境学群 循環農学類 干場 信司 氏
  受講者からの質疑、意見を交換し合う意見交換会。
  ・河川の汚染問題等は昔から論じられていることであり、ふん尿等による水質汚染が
   あるのは事実である。今後は、論議だけでなく実効性のある対策を協議し実践しな
   ければ何も変わらない。域の基幹産業として、共存できるような行動を望むとの声
   があった。
  ・また、雨が降った後の硝酸態窒素濃度の検証結果、アンモニア態窒素の検証結果を
   求める声があり、雨後は濃度が高くなる場合がある。
  ・デンマークの環境政策についての酪農家に対するメリットについての質問
   酪農家に対してのメリットは無い。
  ・担い手不足の問題は現状深刻であり、講師に対し現実を踏まえた上でどのような
   対策があるのか?
   1つの問題解決論で論じる問題ではない。
   後継者、若い人間が酪農に魅力を感じるかが問題である。

 (4) まとめ
   小職はこの度初めて酪農が及ぼす河川の汚染等について学習した。
   意見交換でも受講者が述べたように昔から問題視されていることであり、現状を把
  握した上で酪農・漁業に携わる人間が共存し合うための問題解決の模索が必要である
  事は充分理解できた。


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